リラクゼーションと体感振動周波数帯域 / 工学博士 小松明

「20Hz〜50 Hzが再現できることの重要性」

体感振動は椅子などの人体載置物を介して、触振動覚的に身体で受容されるため、20〜150 Hzくらいを体感振動周波数帯域としている。

これは、周波数が高くなると、音として聴覚では聞き取れても、触振動覚として振動を感じ取ることが困難になる「ヒトの感覚特性」に合わせたものである。

体感振動周波数帯域も周波数によって異なった効果をもたらす。これらは、ヒトの体感振動心理、感覚特性などによるもので、凡そ下記のような意味合いを持っている。

1.音とのつながり、音のリアリティを補う帯域 50〜150 Hz

低音楽器のリアリティ、振動感を伴うようなドキュメンタリー音の臨場感の再現など、音の印象を深めたり、音と体感振動とのつながりを良くするのに重要な周波数帯域が50〜150 Hzである。
50〜150 Hzの帯域の再現は、技術開発が進み、従来技術で可能なレベルになっている。

2.リラクゼーション感、陶酔感、生理的快感などをもたらす帯域 20〜50 Hz

帯域を20〜50 Hzまで広げることによって、前項で述べた重低音感の増強、振動感や衝撃感を伴うドキュメンタリー音の、迫真の臨場感の再現などの効果をより一層深める。
さらに重要なことは、20〜50 Hzの帯域は、心地よいと感じる生理的快感をもたらし、陶酔感を深め、リラクゼーションの効果を高めることである。また、Vibroacoustick Therapyの効果で重要なのが20〜50 Hzの帯域である。

このことから、20〜50 Hzの帯域の再現が十分にできているか、できないかは非常に重要で、リラクゼーション用機器としての性能を左右し、リラクゼーション機器としての効果の生命の鍵を握っている重要な帯域であることが理解されよう。
20〜50 Hzの帯域の再現は非常に重要であるが、従来の技術では40Hz以下の低い周波数帯域の再生は大変に困難であった。

3.16Hzまでの再現を可能にする新しいTransducer、Vt7

新たに開発されたTransducer(電気‐機振動変換機)、Vt7は、今まで再現が困難であった40Hz以下を十分に再現可能とした。これによって、リラクゼーション機器として非常に重要な20〜50 Hzの帯域を、十分に再生することが可能となった。

しかもVt7は高性能なので、少ないTransducer数で、これを可能にしている。このことは、リーズナブルなコストで、高性能なリラクゼーション機器の提供を可能にした。

通常、オーディオ帯域の最低音は20Hzとされている。しかし、オルガンの最低音は16Hzである。それは音楽で使用される「楽音の最低音」である。筆者はVt7の開発にあたり、20Hzまでの再現では満足せず、楽音の最低音である16Hzまでの再現にこだわった。

4.Vt7が可能とした16〜40Hz 1オクターブ余 の価値

この帯域の再現の重要性は上記に記したが、その価値の意味するところをスピーカーシステムにたとえて考えると理解されようか。
スピーカーシステムでも低域の再生周波数帯域が1オクターブ延びているか、いないかが、性能的にも価格的にも、どれほど大きな差であるかを考えれば、その価値も理解できよう。

通常のBookshelf型のスピーカーなら100Hzくらいまでフラットで、それ以下はf特カーブが減退する。
Bookshelf型より1オクターブ下の50Hzまでフラットなf特カーブのスピーカーシステムになるとかなり大型になり、高級品として価格的にもかなり高価なものとなる。
これより1オクターブ下の25Hzまでフラットに再現できるスピーカーシステムは、プロ用でも、かなり特殊な部類となり、価格は大変なものとなる。

「体感音響装置と1/fゆらぎの関係」

体感音響装置の振動は入力される音楽による。従って、基本的には音楽の特性による。
しかし、体感音響装置は150Hz以下の信号を取り出し、体感振動に変えるので、例えばロックミュージックの場合で、1/f0ゆらぎに近い刺激の強い音楽であっても、バスドラムやエレキベースなどの低音部分が主になる。
従って、音楽全体よりは、遥かに単純一単調になり、刺激は弱まる。覚醒状態で最も精神の安定が得られるという1/fゆらぎ的振動になる可能性が高い。
歌謡曲の場合は、低音部分はもっと単純なので1/f2ゆらぎに近い振動になる可能性もある。弛緩を生じ安堵と休眠に導くような振動になる可能性もある。
たとえ音楽が1/f0ゆらぎに近い刺激の強いものであっても、快くなってリラックスするのはこのためだとも考えられる。
体感音響装置で快くなり眠ってしまう人が多いのも、こうした理由による。このことがリラクゼーションに関与する一つの原因だと考えられている。

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